4コマで「新自由主義」とその課題をわかりやすく〜ケインズ理論との違い、フリードマンの主張など

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公共事業や補助金などによって、政府が民間に資金投入する経済政策が当たり前になっています。これは、「政府が経済に積極的に介入するべきだ」と唱えたケインズらの経済理論(詳しくは「有効需要の原理をわかりやすく〜大きな政府を支持するケインズ理論〜」)。新自由主義はこれを批判し、政府が経済に介入するべきではないとします。自由競争を前提とする市場の機能を信じ、経済成長へ導く考え方です。

4コマで「新自由主義」

解説

新自由主義は民間経済の活力を重視する考え方

新自由主義は政府による経済への介入を抑え、自由競争でうまれる民間経済を活発にし、経済全体をよくする考え方です。

新自由主義は1980年代に世界各国に広がりました。理解するために、それ以前に信じられていた「ケインズ経済学」に触れておきましょう。

1929年、アメリカの株価暴落をきっかけに、世界大恐慌が起こりました。アメリカのローズベルト大統領は、大規模な公共事業を行うなど、財政出動で経済を振興し、不況を乗り越えようとしました。
また、イギリスの経済学者ケインズは、市場原理に任せた自由放任的な資本主義を改め、政府が経済に介入するべきだと主張します。
民間経済とならんで政府の公的経済が大きな役割を果たす「混合経済」は、第二次世界大戦後、多くの国々で取り入れられました。

政府が経済に介入する景気振興策を否定した

しかし、経済のグローバル化が進み、1973年のオイルショック以来、ケインズ経済学では状況に対処できなくなっていました。そこで、台頭したのが新自由主義です。

アメリカの経済学者フリードマンは、財政・金融政策による景気振興を否定し、貨幣の量を増減させることで経済を安定させる「マネタリズム」を主張しました。

先進国が新自由主義的な政策で経済を立て直した

1970年代後半からは、イギリスのサッチャー政権、アメリカのレーガン政権、日本の中曽根政権などが、次々と規制緩和や公的企業の民営化といった新自由主義的な政策をとり、経済を立て直しました。

格差の拡大とその世襲化など負の部分も指摘される

いっぽうで、自由競争を重視する新自由主義は、負の遺産を残したとも言われます。

大企業や資産家などがより富裕化することを是認し、それらによる投資や消費により中間層・貧困層の所得も引き上げられ、富が再配分されるとする。しかし、再配分よりも富の集中や蓄積・世襲化が進み、貧富の差を広げるという見方もある。
デジタル大辞泉より

民間経済と公的経済の役割分担が、現代経済の課題となっています。

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