リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍…
経済が大きなダメージを受けたとき、政府は公共事業を行ったり、社会福祉を強化して国民を助けます。ときに「バラマキ」とも批判される財政出動は、国民の生活を守るだけでなく、 経済に良い影響をもたらすのか? イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズが唱えた「有効需要の原理」を考えてみましょう。
4コマで有効需要の原理
解説
財政出動は経済をよくする! と主張したケインズ
1929年、アメリカの株価暴落をきっかけに、世界大恐慌が起こりました。深刻な不況のなかで、アメリカのローズヴェルト大統領は、大規模な公共事業をおこなうなど、労働者を保護しようとしました。ニューディール政策です。
同じ頃、イギリスの経済学者ケインズも、「市場メカニズムだけに任せず、政府が適切に経済へ介入するべし」と主張しました。
有効需要の原理→経済発展のためには需要を増大するべき
ケインズの理論は、「有効需要の原理」がよく知られています。ケインズは経済発展のためには、需要を増大させることが重要だと主張しました。
ただし、「モノが欲しい!」という欲求だけあっても、お金がなければ買えないので、意味がありません。欲求とお金、両方そろっているのが有効需要。「実際に貨幣の支出をともなう需要」です。
国民の購買力が上がると企業も活性化し、経済が回る
考えてみれば、不況になるのはお金が使われなくなるから。国民にお金が回れば購買力が上がり、有効需要が増えるという考え方は理にかなっています。
需要が増えれば企業は商品をどんどん生産して売ります。自然と雇用が増えて、国民の生活が安定すれば、さらに有効需要が増える、という好循環がうまれます。
政府が財政支出して有効需要を創出する大きな政府に
有効需要を創出するために、ケインズは公共事業や社会福祉を充実させるべきだと主張します。実際に、経済へ積極的に介入し福祉を充実させる「大きな政府」が各国に広がりました。
いっぽうで財政出動を維持するためには、財源が必要です。税や社会保障費など国民の負担が上昇するという弊害も指摘されています。