南太平洋の島国サモアの政治が混乱している。先月行われた総選挙で23年ぶりの政権交代が決まったにも関わらず、首相がその座に居座っているという。中国の海洋進出もからむ問題が指摘されており、国際社会の注目が集まる。
南太平洋サモアで政治混乱=親中派首相、選挙敗北認めず(時事通信)
サモア次期首相、中国支援の大規模港湾開発を棚上げへ(ロイター)
サモアとはどんな国か? ニュースのそもそもを掘り下げる。
サモアは南太平洋中部のポリネシア島群。1722年にオランダ人ロッヘフェーンがヨーロッパ人として初めて発見し、1768年にフランス人ブーガンヴィルが上陸した。
19世紀後半に捕鯨船の補給に利用されて栄えると、アメリカ、イギリス、ドイツが支配を争った。1899年にアメリカとドイツが分割。東部はアメリカ領サモアとなり現在に至る。
ニュースになっているサモア独立国は、ドイツ領となったのち、第一次世界大戦後にニュージーランドの委任統治、信託統治をへて、1962年に独立した。
1998年には、国名を西サモア独立国からサモア独立国に変更している。
国土は東京都の1.3倍(2830平方km)で人口は約20万人。
立憲君主国家であり、国家元首は事実上、国家元首は四大マタイ家の長の中から選ばれる(マタイは各地域の伝統的部族長)。ただし、国家元首に実質的な権力はない。
政府は、首相と12人の閣僚によって構成されている。21歳以上のすべての国民が選挙権を持つが、被選挙権は「マタイ」の称号を持つ者にしか認められていない。地方では現在でも、一族の長を中心とした伝統的な地域運営が残っている。
●参考
外務省ホームページ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/samoa/data.html#section1
太平洋諸島センターホームページ
山川世界史小辞典(改訂新版)
http://www.historist.jp/word_w_sa/entry/043910/