5月24日、ミャンマー国軍に拘束されているアウンサン・スーチー国家顧問が、2月のクーデター以来、はじめて対面形式の審理に出廷した。今後もプレゼンスを発揮するであろうスー・チー氏とはどんな人物なのだろうか?
スー・チー氏は、英国からの独立運動に貢献し、「建国の父」と呼ばれるアウンサン将軍の長女。外交官である母とともにインドに渡り教育を受け、後にイギリスのオックスフォード大学に留学した。政治、哲学、経済を学び、1972年にイギリス人学者マイケル・エアリスと結婚する。
1988年に軍事政権下のミャンマーへ単身帰国し、国民民主連盟(NLD)を創設して反政府運動をひきいた。翌年、自宅に軟禁され「国外退去すれば自由を認める」との提案を受けたが拒絶し、軍事政権に抵抗した。
以後、スー・チー氏はたびたび拘束され、2010年までそのほとんどの期間を軟禁状態でおくることになる。軟禁中の1991年には、「非暴力によるミャンマー民主化運動への貢献」が認められノーベル平和賞を受賞する。
そして2011年8月、ミャンマーを民政移管したテイン・セイン大統領との会談が実現。2012年4月に実施された下院補欠選挙では、NLDから自ら出馬して当選する。
さらに2015年の総選挙ではNLDが大勝し、翌年にはスー・チー氏の側近ティン・チョウ大統領による新政権が発足する。憲法では外国籍のある親類がいるものは大統領になれないため、スー・チー氏本人は国家最高顧問と外務大臣に就任した。
2020年の総選挙でもNLDが圧倒的な支持を得て勝利する。しかし、2021年2月のクーデターで、スー・チー氏はまたも国軍に拘束されることに。
NLD解党を検討する軍事政権に対し、「国民の健康を願うとともに、NLDは国民のために設立されたのだから、国民がいる限り存続する」と発言している。
●参考
外務省ホームページ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/myanmar/data.html
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
https://is.gd/v90zl4