欧州最後の独裁者が君臨する国

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ベラルーシのルカシェンコ政権は5月23日、領空内を飛行する民間旅客機を緊急着陸させた。搭乗していた反体制派メディア創設者のロマン・プロタセビッチ氏を拘束。戦闘機まで発進させた異例の行動に、国際社会の注目が集まっている。

ベラルーシはロシア語で「ベロルシヤ(Belorussiya)」で、スラブ語のベラ(白い)+ルーシ(ロシア)で「白いロシア人」の意味を持つ。白は「高貴」や「自由」をあらわし、13世紀にユーラシア大陸を席巻したモンゴル人の支配を受けなかったことに由来する。

東スラヴ族のベロルシア人が住み着き、8~9世紀にはミンスク、ポロツクなどに小公国が形成。13~14世紀にリトアニア大公国へ組み込まれ、その後ポーランドの支配下に入った。

18世紀末のポーランド分割(ロシア、プロイセン、オーストリアの三強国によって分割され国家が消滅)によりロシア領に。第一次世界大戦後の1922年、社会主義のソビエト連邦が結成されると参加した。

ソ連の社会主義体制がゆらぐと、1991年8月独立を宣言して「ベラルーシ共和国」に改めた。いっぽうで、ロシア、ウクライナ(2014年脱退)とともに独立国家共同体創設協定を締結した。

モスクワと東ヨーロッパを結ぶ鉄道や、バルト海と黒海を結ぶ水路が国内を通っており、ロシアとの結びつきは強い。

アレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、1994年の第1回大統領選挙で当選。現在まで政権トップに君臨し、「欧州最後の独裁者」とも。

●参考
外務省ホームページ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/belarus/data.html#section1

山川 世界史小辞典
http://www.historist.jp/word_w_he/entry/044984/

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
https://is.gd/5WJLOT

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