日本の裁判制度「三審制」の仕組みとは? 棄却・却下・差戻しの違い

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裁判は人の人生を左右し、場合によっては生死にかかわるもの。間違いが起こらないよう、さまざまな裁判制度が考えられてきました。今、日本が採用しているのが「三審制」の仕組み。まずは4コマで、ざっくり理解しましょう。

4コマで「日本の裁判・三審制」

解説

裁判所の決定がいつも正しいとは限らない

裁判官と言えども人間。間違った判定をくだすことがあります。1回の裁判ですべてが決める仕組みの下では、冤罪が起きたり、犯罪が見逃される可能性が高まります。

公正で慎重な裁判のため日本は「三審制」を採用

公正な裁判を行い、間違いのない判決を出すために、日本をはじめ多くの国では「三審制」を採用しています。刑事裁判では検察官か被告人のどちらかが判決に不服を持った場合、上級審に再審査を求めることができます。一審、二審、三審と、最大3回の審判を行い最終的に判決を確定させるのが三審制です。

最初の一審は特別な場合を除き、各都道府県の地方裁判所、家庭裁判所(※1)、簡易裁判所(※2)が行ないます。
二審は東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松の8カ所におかれる高等裁判所で、三審は司法権の最高機関である最高裁判所で行なわれます。

一審の判決に不満を申し立て、高等裁判所へ上訴することを「控訴」、最高裁判所に上訴することを「上告」と言います。

(※1)家庭裁判所…刑事裁判は少年保護事件、民事裁判は家庭事件の審判・調停などを扱う
(※2)簡易裁判所…刑事裁判は罰金以下の刑、民事裁判は140万円以下の請求などを扱う

控訴・上告しても再審判されない「棄却」「却下」

とはいえ、三審制の下で控訴・上告すれば、必ず上級審で裁判が行なわれるとは限りません。

上級審がいったん訴状を受け取り、審理した上で訴えを退けることを「棄却」と言います。いっぽう、審理することなく訴えを退けるのが「却下」です。手続き上の不備や、明らかに審査の必要がないと判断した場合は門前払いされてしまいます。

棄却や却下が確定すれば、検察官や被告人(原告や被告)の訴えが退けられ、下級審の判決が確定します。

裁判所の決定が取り消され
裁判がやり直されることも

また、ときおり決定される「差戻し」も上級審が裁判を拒否するもの。これは、下級審の判決を取り消し、または破棄し、下級審にもう一度審理させる措置です。
差戻しが決定すると、裁判をやり直すことになるので、一度下した判決が確定することはありません。

まとめ

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