「今こそ、我社にはイノベーションが必要だ!」など、ビジネスの場ではたびたび聞くキーワード。しかし、イノベーションとはそれほど簡単に起こせるものでしょうか? 20世紀前半の経済学者がとなえたイノベーションの本質を確認していきましょう。
4コマで「イノベーション」
解説
「イノベーション」はオーストリア出身の経済学者ヨーゼフ・シュンペーターが用いた概念です。企業家のイノベーションこそが、経済発展をもたらすと唱えました。
”企業家”とはあまりみかけないキーワードですよね。”起業家”ではなく?
鋭い! 企業家はシュンペーターが強調した概念です。
シュンペーターのいう企業家とは「常に革新を行なって経済に新しい局面をもたらすような創造的な機能をもつ者(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)」を言います。
つまり、企業家が起こすイノベーションとは、創造的な活動であるということですね。
それだけではありません。
従来の軌道を「創造的に破壊」するのが企業家であり、イノベーションです。
「馬車を何台つなげても汽車にはならない」というシュンペーターの名言が残っています。汽車は馬車を改良したものでなく、まったく新しい乗り物です。
確かに、何百年も使われ、それなりに改良されてきたであろう馬車とは、まったく違うプロセス、アイデアで汽車はうまれています。
これが創造的破壊であり、イノベーションなのですね。
シュンペーターはイノベーションの類型を述べています。OECD(経済協力開発機構)はそれを受け、「プロダクト」「プロセス」「組織」「マーケティング」の4つにイノベーションを分類しています。
プロダクトのイノベーションは、自社にとって新しい商品やサービスを市場に投入すること。
プロセスのイノベーションは、生産工程、配送方法などについて、新しい方法や改善したものを導入すること。
組織は、ナレッジ・マネジメントを含む組織の編成、他社との連携などについて、新しい組織管理の方法を導入すること。
マーケティングはのイノベーションは、これまでに利用していなかったマーケティングコンセプトや戦略を導入すること。
イノベーションは日本語で「技術革新」と訳されますが、もう少し深く、また広い意味でとらえたほうがよいのかもしれません。