エドワード・ジェンナー〜ワクチン開発の基礎をつくった免疫学の父

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今、注目を集めるワクチンとは「体に病気に対する免疫をつくらせるため、体内に入れる病原体やその一部(朝日新聞掲載「キーワード」より)」。

病原体を体に入れて病気を予防するなんて、考えてみればスゴい発想。ワクチン開発の基礎をつくったのが、免疫学の父と呼ばれるエドワード・ジェンナーです。

4コマで「エドワード・ジェンナー」

解説

エドワード・ジェンナー(1749-1823)。イギリスの医師。

ジェンナーが研究に取り組んだ天然痘は、古くから多くの人の命を奪ってきた恐ろしい病でした。ジェンナーがうまれた18世紀のイギリスでも、たくさんの人が亡くなっていました。

ジェンナーは14歳のときから7年間、開業医の下で修業します。

そのとき、ある女性の患者から、「一度牛痘にかかった人は、天然痘にかからない」という話を聞きます。牛痘とは痘疹のできる病気で、人にも感染しますが軽症で済みます。

ジェンナーは修行を終え、自ら開業すると、この話をヒントにして天然痘予防の研究をはじめました。

1796年5月14日、牛痘にかかっていた娘の痘疹の材料を、少年の腕に接種します。すると、自然に感染したときと同じように、痘疹ができ、やがて治りました。

次に、ジェンナーは少年に天然痘の痘疹の材料を植え付けます。しかし、天然痘は少年の体に定着しませんでした。

牛痘に感染し治った人は天然痘ににかからないことが、証明されたのです。また、牛痘の病原体を人からとって、別の人に接種することも可能だとわかりました。

私たちが知っているワクチンの原理です。ワクチンとは牝牛を意味するラテン語に由来すると言われています。

ジェンナーが発明した牛痘種痘法は、天然痘予防に有効であると認められました。その後、天然痘ワクチンも開発され、広く接種されます。

ジェンナーの死から約150年後の1980年、世界保健機関(WHO)は、長らく人類を脅かしてきた天然痘を、根絶させたと宣言しました。

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