台湾と中国の関係が、東アジアの大きな国際問題となっています。そもそも、両者の立場はどのように違うのか? なぜ中国は台湾を自国領土だと主張するのか?戦後の台湾の歴史を振り返り、整理していきましょう。
4コマで台湾
解説
17世紀後半、台湾を拠点に反抗する鄭氏を、中国の清朝が倒しました。それ以来、中国が台湾を領有します。
転機は1894〜95年の日清戦争。戦後の下関条約で、勝利した日本に台湾が割譲されました。
一時、日本の領土でもあったのですね。日本語が話せる高齢者の方もいらっしゃると、いいますものね。
はい。その後、中国では中華民国が建国され、日本と日中戦争を戦います。
そのさなか、日本は第二次世界大戦に参戦し、敗戦国となります。1945年、台湾は中華民国の領土に編入されました。
半世紀ぶりの復帰です。
しかし、以前から対立していた1946年に蒋介石の中国国民党と毛沢東の中国共産党が、「国共内戦」に突入します。戦局を有利に進めた共産党が、1949年に中華人民共和国を建国します。
中国が中華民国から中華人民共和国になった!?
この時点ではそうともいい切れません。蒋介石ら国民党は、台湾に移り、中華民国の臨時政府をひらきます。
中国本土の中華人民共和国、台湾の中華民国、双方が中国の正統の政府であると主張しました。
2つの中国、ですね!
国際的に一応の決着をみたのが1971年、国際連合のアルバニア決議です。「中華人民共和国政府が唯一の合法的な中国の代表である」と、認められました。中華民国は国連を脱退します。
政府の正統性が認められなくなってしまった…。
はい。日本やアメリカも中華人民共和国を正統な中国だとしています。台湾とは正式な国交はありません。
しかし、中華人民共和国も台湾を実質的に支配しているわけではない。当然、統一したいと考えますよね。
そのとおり。
そのために1970年代末に、中華人民共和国が打ち出したのが「一国二制度」の概念です。
一国二制度は香港の話ではないのですか? 中国の社会主義と、イギリス統治下で香港に採用されていた資本主義を、両立させるという…。
一国二制度は、元々台湾を平和的に統一するために、中国の鄧小平が打ち出したのです。
強権的な政治をおこなってきましたが、工業化を進め経済は発展していました。
しかし、台湾は応じなかった…。
80年代の台湾は、民主化を進めます。
国民党は1949年以来、中国本土と戦争中であるとして、長い間戒厳令をしき、強権的な政治をおこなってきました。
しかし、経済が発展し、中産階級が成長すると民主化への要求が高まります。
1887年に戒厳令が解除され、李登輝が中華民国総統に就任。1996年には直接選挙による総統選がおこなわれました。
中国とはまったく違う道を歩んでいる―
2016年に総統に選ばれた蔡英文は、2020年に再選された際、「一国二制度は受け入れられない」とはっきり述べています。