資本主義と社会主義の違いを詳しく解説
資本主義と社会主義、相対する概念を比べることで経済の仕組みがより鮮明になります。社会主義は資本主義の弱点を克服するためにできた考え方で、ドイツの経済学者・マルクスの『資本論』が有名です。
資本主義の弱点①景気の波が失業者をうむ
資本主義は市場での自由競争が原則。国家が手を加えなくても、需要と供給のバランスの上で最適な価格に調整され、商品の生産量や消費量が決まります。市場経済では経済が拡大したり収縮したり、つまり好況と不況を繰り返す景気の変動がおこります。不況になると、たくさんの失業者が出るのが初期の資本主義の弱点でした。
資本主義の弱点②資本家と労働者の階級格差
また、資本主義には資本家と労働者という階級が存在します。
資本家は土地や機械といった生産手段を私有しています(私有財産制)。労働者は生産手段を持っておらず、資本家に労働というサービスを提供し対価を得ます(労働力の商品化)。
資本家は労働者に支払う賃金以上に、価値ある商品を生産しようとします。もし、賃金が売上を上回ってしまったら利益は得られませんから当然です。
資本主義が機能すると、利益は自己増殖して資本家はどんどんもうかります。いっぽうで労働者との貧富の差が広がるわけです。
マルクスは「労働力が商品化されていることが問題の本質だ」と主張しました。そして、レーニンがロシア革命で帝政を打倒し、世界で初めての社会主義国・ソヴィエト社会主義共和国連邦をたてのです。
その後、東ヨーロッパ諸国や中国、ベトナムなどで社会主義政権がうまれます。
社会主義が目指すのは階級が存在しない平等な社会
社会主義では生産手段の私有と利益の追求を行いません。土地や機械は、資本家ではなく国や地方公共団体が所有します。すべての国民が労働者となり、階級間の対立はありません。
社会主義は計画経済で生産をコントロール
また、市場のメカニズムに任せる自由主義的な市場経済ではなく、国家による計画経済を採用します。国家が生産者と消費者の情報を集約し、計画のもとで生産・流通・販売をコントロールするのです。
社会主義の弱点は発展への意欲が上がりづらいこと
社会主義では、国家が経済の計画をたてるので、労働者が努力しても賃金が上がりません。また、市場での競争がなく、技術改良してより良い商品をつくろうというモチベーションがうまれません。
完全な計画経済のなかで、経済を発展させるのはとても難しいのです。社会主義国は資本主義国に対して、経済的に遅れをとるようになります。
今では、ほとんどの国が資本主義的な経済システムを採用しています。