4コマで資本主義の成り立ちと仕組み
資本主義の成り立ちと仕組み、問題を詳しく解説
広辞苑第七版で「資本主義」とひくと、次のように記述されています。
(capitalism)封建制下に現れ、産業革命によって確立した生産様式。商品生産が支配的な生産形態となっており、生産手段を所有する資本家階級が、自己の労働力以外に売るものをもたない労働者階級から労働力を商品として買い、それを使用して生産した剰余価値を利潤として手に入れる経済体制
どういうことか?初期資本主義のストーリーをさかのぼってみましょう。
財産を確実に私有できる市民社会が資本主義を育てた
封建制下のヨーロッパでは、国王や貴族、教会といった領主が、農民たちを支配していました。17〜18世紀に西欧の各地で市民たちが封建制を打破する市民革命がおこります。立憲君主制を確立したイギリス革命、国王を倒して共和政を実現したフランス革命などです。
市民革命によって、個人の財産権や経済活動の自由が保証されるようになります。商品を生産するために必要な土地や機械(生産手段)を、市民が私有します。
“(資本主義が成立する)その条件の一番の基礎は、「私有権」(キーワード2)がそれとして数値化され得るということだ。
例えば、土地は、領主・臣下など、さまざまな社会関係から切り離されて、単なる私有の物件として価格が付けられ、それを担保にいくら借りることができて、それを元手に生産設備や労働力に投資したら、いくらリターンが得られるか。こういったことが可能にならないと、資本主義は成り立たない(津田塾大学教授・萱野稔人氏)”
資本主義は労働力を商品化した
生産手段を持つ人が資本家、生産手段を持たず労働を売るしかない人を労働者といいます。資本家は対価を支払って労働者を雇用し、商品を生産します。
よく資本主義とは「労働力を商品化した」システムだと言われますが、これは「労働というサービスを労働者が資本家に販売する」という意味です。こうして、資本家が利益を追求する資本主義経済がつくられていきました。
資本はひとりでに増えていく!?
資本主義経済が機能していれば、資本家は工場を用意したり、労働者を雇用するコスト以上に利益を得ることができます。そのため資本主義は「資本が自己増殖する」仕組みだと言われます。津田塾大学教授の萱野稔人氏は次のように述べています。
資本主義とは何かについては、マルクス主義の「資本の自己増殖運動」という定義が今でも一定程度参考になると思う。つまり、「1」投資したら「1・1」でも「1・01」でもいいから、とにかく投資したものより大きなリターンが得られるという運動だ。
もちろん、資本家が投資に失敗することはありますが、少なくとも「資本主義は資本の自己増殖を『目指す』経済体制である(萱野氏)」といえそうです。
資本主義の弱点は格差拡大
資本主義の市場経済の下で、世界の経済はめざましい発展を遂げてきましたが、欠陥もあります。
資本主義の社会では、資本家と労働者の間に貧富の差が拡大しました。資本の自己増殖によって、資本家だけがどんどん富を蓄えられるからです。
また、自由放任的な市場経済では、定期的に景気の変動が起こり、好・不況が繰り返されます。不況になると資本家が労働者を解雇し、大量の失業者がうまれたのです。
1929年にはじまった世界大恐慌など、20世紀の経済危機は資本主義の性質を変えました。現在では、完全に市場のメカニズムに経済を委ねるのではなく、政府が一定程度介入し経済を円滑にする混合経済が採用されています。