企業経営の分析によく使われるのがSWOTのフレームワークです。就活などの際、個人の環境分析にも応用されています。
シンプルでわかりやすいフレームワークは、組織/個人、ビジネス/プライベートを問わず、幅広く活用できます。まずは4コマでポイントを整理して、考え方を身に着けましょう。
4コマでSWOT
SWOTを解説
「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」と言います。先人の教えにある通り、戦略を立てるには、ライバルの動きや自分をとりまく環境と、自身の強みと弱みをよく知ることが重要です。
企業が経営戦略を立てるため、1960年代に考え出されたのがSWOT分析の手法です。フレームワークを活用することで自社の環境を分類し、シンプルな形で整理することができます。
「S」と「W」は内部要因。強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)は、どちらも自分たちの努力でコントロールすることができます。
外部要因は直接コントロールすることが難しい要因です。ポジ、ネガで考えるとわかりやすいでしょう。ポジティブな外部要因が機会(Oppotunities)、ネガティブな外部要因が脅威(Threats)となります。
SWOTは、このようなマトリクスで表現されます。それぞれのエリアに、考えられる要因を当てはめていきます。
戦略を考えるのに必要な要素を、とてもよく整理できます。企業はもちろん、あらゆることに使えるのがSWOTのフレームワークです。
SWOT分析の具体的イメージ
ビジネス、スポーツチーム、ビジネスパーソン(個人)を例に、シンプルなSWOTを作成しました。
オフィス向けにOA機器を販売するA社のSWOTイメージです。
S…ベテランの営業スタッフが、得意先から着実に受注してくるのがA社の強みです。
W…いっぽうで販売代理業は他社と商品がかぶるので、商品で差別化できないのが弱み。
O:メーカーのプロモーションが期待できます。主力商品のCMが流れれば、認知向上につながり、顧客からの関心が高まります。
T:商品の差別化ができない分、価格競争に向かう可能性があります。類似、または同じ商品を扱うライバル社の値下げは、常に脅威といえます。
地方都市をホームとするプロサッカーチームBを想定したSWOT。
S…充実したコーチ陣が選手の能力を向上させます。日本人選手の強みでもあるテクニックの育成に定評があります。
W…強力なスポンサーがおらず、潤沢な資金が得られないのは弱み。選手の補強や環境整備が難しくなります。
O…Bの地域には他にプロスポーツがありません。ファンの後押しは、着実にホームゲームの集客ができるなど、ポジティブな外的要因です。
T…資金豊富なライバルチームが、実績のある外国人選手を補強してきます。
キャリアアップを目指す若手ビジネスパーソンのCくん。
S…持ち前の愛嬌と人付き合いのよさで、社内外の受けが良いCくん。困ったときに助けてくれる人がいるのは大きな強み。
W…ミスの多さはたまにきず。しばしば周囲に迷惑をかけるのは、評価を下げるポイントです
O…上司がかわいがってくれるので、ミスをしてもチャンスが与えられます。挽回できる機会は、Cくんにとってはポジティブな外的要因です。
T…いっぽうでカタい仕事をする人たちにとっては、Cくんの環境は恵まれすぎていると感じるかも。几帳面な後輩からの突き上げなどが考えられます。
SWOTは要因の整理に使う
実際のSWOT分析では、もっと複雑なたくさんの要素をマトリクスに書き込んでいくことになります。考え方によっては、強みが弱みにもなるようなこともあるでしょう。
また、上記をみておわかりのようにSWOT分析をしたからといって、すぐに戦略ができあがるものでもありません。フレームワークを活用して、内と外の要因を整理することが重要なのです。
よい分析は、ビジネス、スポーツ、組織、個人、あらゆるシーンで、すぐれた戦略を立てることに役立ちます。
思考や議論の土台としてSWOTを活用してください。