良い仕事をするには、能力より、お金より、気合と根性よりも「健康」が大事。企業が従業員のヘルスケアを積極的に推進する「健康経営」が注目されています。
SMN株式会社(旧ソネット・メディア・ネットワークス)でも、2017年に健康経営へ乗り出しました。担当する松本裕文さんは、実際に取り組んでみると、ある大切なことに気がついたといいます。
4コマで課題解決ストーリー
課題解決ストーリー詳細
「健康経営銘柄」の企業を選出するなど、国をあげて推進している健康経営。経済産業省は健康経営を次のように定義しています。
「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。
具体的な施策はさまざまですが、食生活を改善したり、運動を楽しむ機会を得られることは、従業員の大きなメリットになります。
個々が健康になれば仕事のパフォーマンスが上がり、企業の業績にも寄与するでしょう。
しかし、松本さんは「業績のための健康なのか??」と疑問を呈します。
健康は企業ではなく、従業員それぞれが管理し大切にするもの。
経産省が「従業員への健康投資」と表現するように、健康経営の最終的な目的は、業績や株価など経済的な指標だとも受け取れます。
「よりお金を稼げるよう社員の心身を健康にしよう」
そんなふうに経営者が考えているとしたら、せっかくの健康経営も少しいびつに見えてこないでしょうか。
そこで、SMNは社員の健康のために行う施策を、企業の都合で考えることをやめました。業績などの「組織のシアワセ」は、結果的に実現すれば好ましいものであり、目的ではありません。
目的はあくまで「個人のシアワセ」。健康施策を従業員の「シアワセ醸造」の一環と位置づけています。
「個人のシアワセ」は人それぞれで、健康へのニーズは結婚や出産などライフイベントによっても異なります。
重要なのは多様な個々のニーズにきめ細かく応えること。(業績につながるなど)組織にとって有用な施策だけではなく、多様な受け皿を用意しておかなければなりません。
SMNでは、健康施策を「カラダ(体)」「ショク(食)」「ココロ(心)」「カンキョウ(環境)」の4つの軸で実施しています。
「カラダ」への施策であるフィットネスジムの利用補助は、タイプの違うジムを2種類用意し、ユーザーである従業員が好みに合わせて使えます。オンラインで体の疑問や病気の不安に対応してくれる医師相談サービスも導入しました。
「ショク」への施策は、持続的な食習慣の改善を促します。レクリエーションの中で食材や栄養について学べる「食育マルシェ」、健康的なお惣菜を常備する「オフィスおかん」などが好評です。
「ココロ」への施策も、講師を招いたマインドフルネスセミナー、エンタテインメントロボット「aibo」のオフィスへの導入、香りで気分転換できるパーソナルアロマディフューザー「AROMASTIC」の支給など多彩です。
シビアなビジネスの世界では、経済的な合理性が求められます。組織の中で「個人のシアワセ」の実現や、そのためにサポートを声高には言いづらいもの。しかし、そもそも従業員が働くのは多分に自分のためですし、経営者も従業員のシアワセのために知恵を絞っているはずです。
健康をはじめ、個人の多様なシアワセを企業がサポートするのは自然な流れなのかもしれません。企業文化の変化を予感させられる課題解決ストーリーでした。
●関連リンク